ICB-870T 送信パワー不足、受信不良でお預かりしました。


IMGP7500

アンテナの緩みを調整しました。

必ず点検するところです。

IMGP7501

ひらいてみると、ネジが1個出てきました。


IMGP7502

ネジはアンテナ接続部のものです。

送信・受信不良の原因は、ネジが外れていたためです。

IMGP7503

基板のハンダ不良、パターン切れを点検しました。

本機は異状ありませんでした。

IMGP7504

電解コンデンサーをオール交換しました。

ドライアップ状態でした。

IMGP7505

受信感度調整。

最大に調整しました。

IMGP7506

受信感度。

ー120,0dBm

IMGP7507

送信出力がほとんど出ていません。

パワー計の針が動いているかもわからないです。

計測不能。

IMGP7508

自作のQRPパワーメーターで計測。

わずかに送信しているのは確認できました。

IMGP7509

原因を調べると、パワートランジスターにパラに取り付けられているコンデンサーが割れているのを発見しました。

交換してもパワーは出るようになりませんでした。

IMGP7518

ファイナルトランジスターを取り外しました。

2SC2314

Ic=1A ft=250Mhz 

1,8Wくらい出せる石です。

IMGP7510

トランジスターテスターで調べてみると異状が無いように見えます。

しかし、送信したとたんに落ちてしまいます。

不良ですね。

IMGP7511

ファイナルトランジスターにかかっているバイアス電圧を調べました。

12Vでした。

IMGP7512

ファイナルに使えそうなトランジスターを買いに行きましたが、2SC2314のようなTO-126型のトランジスターの在庫は皆無でした。

半導体の数も少なくなっており、高周波用トランジスターの入手はできませんでした。
世界的に半導体入手危機なのがわかります。

しかたがないので、手持ちのある汎用トランジスター2SC1815をパラレルで使ってみましょう。

IMGP7520

2SC1815 hfe=434

特性のそろったものを使います。

IMGP7519

2SC1815のftは80Mhzですが、バイアス次第では何とかなるかも知れません。

2パラでやってみましょう。

特性はそろえていますが、電流が片方にかたよらないように無誘導の低抵抗(1Ω)を入れました。

IMGP7521

実装しました。


IMGP7523

無線機への電圧は13,8Vを入れてあります。


IMGP7513

2SC1815 2パラでは0,3Wでました。

これでも最低限の交信は何とかなるかも知れません。

IMGP7522

2SC1815は高周波向けのトランジスターではありません。

高周波トランジスターを使ってみます。

手持ちの関係で、2SC710 2パラでやってみましょう。

2SC710 Pc=200mW ft=200Mhz

IMGP7525

hfe=108

トランジスターテスターで計測し、特性を合わせます。

IMGP7524


IMGP7526

実装しました。


IMGP7528

バイアスを調整すると、0,4Wでました。

Pcが200mWですので、プラス変調ではここまでが限界でしょう。

代替えを考えるのも、やってみないと分からないです。

3パラにしたらどうか?とよぎりますが、今回は0,4Wを採用しました。

IMGP7527

スプリアスの状態。


IMGP7530

周波数。

27,144Mhz

IMGP7529

アンテナを伸ばした状態にて、


IMGP7531

アンテナローディングコイルを最大に調整しました。


IMGP7533

交換部品です。


IMGP7537

半導体の入手が困難です。

在庫を使い果たしたら終了です。

IMGP7536