YAESU FT-817・818などQRP用の半波長終端給電アンテナ(End-Fed)の整合器を作ってみようと思います。
下図はアンテナの基本である半波長ダイポールアンテナの電流・電圧分布です。
このアンテナは中央から給電しますが、電圧分布は中央で最小に、端では最大になります。
ツェッペリンアンテナは電圧分布が最大となっている端から給電するため、電圧給電アンテナといいます。

どういうことになるかというと、半波長ダイポールアンテナの中央におけるインピーダンスは75Ωで、これなら50Ωの同軸ケーブルで給電できます。
インピーダンスを合わせるためにバランを使って整合しますが使わないという方もあります。
一方、ツェッペリンアンテナのように端から給電した場合のインピーダンスはどれくらいになるかというと、およそ5000Ωになります。
電圧給電アンテナには利点があります。
無線機からワイヤーを伸ばしたら片方をどこかに結ぶか木の枝にでも引っ掛ければ良く、設置が楽といえます。
垂直に立ててもL字型に曲げてもOKで(折り返しはNG)フルサイズのアンテナです。
50Ωの同軸ケーブルで給電するためには、これを5000Ωという高いインピーダンスに整合させる必要があり、そのための機器を自作しようというのが今回のテーマです。
インピーダンス整合(マッチング)を取る方法は
①コイルとコンデンサー
②トランス
③抵抗器
によるものがありますが、①と②の方法でやってみました。
第1章 コイルとコンデンサーによる整合
共振回路
配線図中の数値はおおよそ7.100Mhz付近に合います。

コイルを巻くボビンは釣り竿を切断したものを使いました。
カーボン製のものはNGで、グラスファイバー製のものにします。
塩ビパイプを使う例がありますが高周波特性が良くないとのことです。
直径24mm

太さ1mmのポリウレタン被服線です。
ポリウレタンでコーティングされた線であり、はだか線ではショートしてNGです。

密巻きで28回。
中空のコイルをソレノイドといいます。
ボビンに巻かずに安定した直径と長さが保てるならボビンは要りません。
7.1Mhzで発振させるためのコイルとコンデンサーの値はLC共振計算サイトにて調べます。
コイルの直径や巻き線の太さ、巻く回数や組み合わせるコンデンサーの値がわかります。
コンデンサーとの組み合わせではコイルの値のほうを大きくすると、バンド内においてSWRが低い状態がブロード(広い)になるようです。

インダクタンスメータで計ってみると0.01mHでした。
0.01mHをμHに換算すると10.0μHとなります。
このテスターではmHまでが限界なのですが、
μHまで計れるものは秋月電子あたりで買えると思います。
次に紹介する方法は作るのもたいへんです。

もう少し詳細な値を知りたいので治具を自作しました。
コイルを発振させてその周波数から計算でインダクタンスを求めます。
配線図。

穴あき基板に部品を配置します。

NPNトランジスタはなるべくftが高いものが良いです。
よく使われる 2SC1815のftは80Mhzくらいですがこれで問題ありません。
今回はマルツ電波で調達した2N3904で
ftは300Mhzです。

組み上がりました。

0.8Vくらいから発振しました。


VCC電圧は3Vの設計ですから乾電池でもOKです。

オシロスコープで見ると結構きれいなサイン波で発振しています。
発振周波数は2.115Mhzと表示されました。

周波数カウンタで計ると2.112Mhzでだいたい同じになりました。
周波数カウンタやオシロスコープが登場しますが、専用の測定器が無ければ再現性が難しい記事で申し訳ございません。

インダクタンスは発振周波数から計算します。
計算式
1/(4π^2×f^2×C)
1/(39.47×(2.115)^2×500)
=1/(39.47×4.473×500)
=1.132
計算結果からコイルのインダクタンスは11.32μHと判明しました。
こんなことをしなくても、ここにあるサイトの計算式にあてはめれば良いです。
私の試験ではこれと全く同じとなり、単に確かめたに過ぎない結果となりました。
測定器など一切必要ありません。
https://crystal-set.com/calc/index.htm
有難いサイトです。

コイルに熱収縮チューブを被せました。

チューブを被せたことによりインダクタンスは変化するでしょうか。

ほとんど変化はありませんでした。

プラスチックケースに納めます。

コンデンサーにはポリバリコンを使いました。
容量260pのAMラジオ用です。
耐圧は100Vくらいなら耐えると思います。
QRPの5Wでも200Vくらいかかるので耐圧の高いバリコンを使うべきですが、5Wではショートしませんでした。
ポリバリコンで静電容量を確認したら、同じ容量となるように耐圧が1Kvくらいのセラミックコンデンサーと差換える方法もあります。
例えば、上記の配線図のようにコンデンサーが44pになったら22pを並列で使うなど丁度良いペアで組み合わせて下さい。
それなら50WでもOKとなりますが高周波電圧は700V強くらいになります。
電流値は高くないのですが、それでもピリピリするくらいは感電します。

Mコネクタを取り付け。

ロングワイヤーを接続するターミナル。

ケース内の状況です。
配線はなるべくもっと短くなるように工夫して下さい。

SWRが最小になるようにバリコンを調整すればOKです。
一度調整すれば頻繁に調整する必要はなく、バンド内のSWRはブロードの状態です。
アンテナチューナーとして動作します。

試験的使用では。
7.1Mhzの1/2λ ×短縮率0.95
((300÷7.1)÷2)×0.95=20.07
20.3mのビニール被服線にて動作を確認しました。
7Mhz 5W SSB
アンテナの地上高による大地の影響が大きいです。
丘の上。
地上高1mくらいでは当たり前ですがSWRは2.0くらいと高いまま、それ以上は落ちませんでした。
川河口。
こちらは地下水があるせいか地上高1mでもSWR1.1に落ちました。
2から7エリア間 レポート55
●最終進化しました。
エアバリコン

羽根のギャップは1mmくらいです。
1kVには耐えると思います。

容量は60pFです。

移動運用にて50WでもOKです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2章 トランスによる整合
インピーダンス50Ωを5000Ωに整合させるための配線図です。

トロイダルコアの選択です。
アミドン社カーボニル鉄粉コアにおける周波数特性です。

上記の表によれば7Mhzの周波数に使えるのは、赤色、黄色、黒色が選択候補となります。
周波数特性3~50Mhzの黄色のコアを使いました。
規格はT68-6です。
フェライトコアを使う場合、FT××ー43
××の部分はコアの大きさで任意、43の部分は43材という意味で43となっているものを使ってください。
Mコネクタとの大きさ比較です。

太さ1mmのポリウレタン線。

トランス2次側はコアの中心を線が28回通るように巻きます。
1mmの銅線は太過ぎて28回巻いたところ、巻き始めを通り過ぎて一部が重なり巻きになってしまいました。
このような重なり巻きになるのはNGです。
トロイダルコア活用百科によると低周波では良くても高周波での重なりはアウトで、単層巻きにすることとなっています。
足同士が近くなるのも気をつけることと記載されています。

銅線の太さを0.5mmに変更して28回巻き。
1次側は3回巻きでコアの中心を銅線が3回通るように巻きます。
こちらは太さ1mmの銅線にしました。
巻き数の対比は1対9で、3回巻き対28回巻きとします。
巻き数とインピーダンスの関係。
1次と2次のインピーダンス比は巻き数の2条に比例します。
1次(1):2次(9)
巻き数の2乗
9^2=81
これによりインピーダンス81倍または1/81の変換が可能となり、1次側50Ωに対する2次側4050Ωとの変換ができるようになります。
1次と2次の巻き方向は同じとしました。
1次側は2次側の上に重ね巻きにして結合を密にしないと性能が落ちます。
重ねて巻かないと動作しないという製作例も見られます。
コアに露出したところがないよう磁束を閉じ込め全体に広がるように巻くのが基本です。
このように偏った巻き方は良くありませんが、この場合は磁束が強い場所を選びます。

Mコネクタ

ポリバリコン260p
耐圧の記載もなく、どのくらいの電圧に耐えるのかわかりません。
大気中における絶縁距離は1mm 1kVですが、見た目では100Vくらいかも知れません。
高周波電圧は5W・50Ωだとして
√(PR)・√2
√(5・50)・1.414=22V
5W・4050Ωでは201V
エアバリコンの誘電体は空気ですが、ポリバリコンは誘電体に絶縁と誘電率が高いポリエチレンを使うことにより小型化を実現、携帯ラジオに搭載されました。
5Wではショートしませんでした。
のちに、50Wで送信してみましたがポリエチレンが溶けることもなく全く問題ありませんでした。
ポリバリコンの耐圧は言われているほど低くないかも知れません。

アンテナワイヤーターミナル。

それぞれ取付けたら配線します。

トランスの1次側が無線機側になるよう配線します。

ワイヤーアンテナを接続するターミナル。

ポリバリコンを取り付けます。

ダイヤルの取り付け。

インジケーター部分の作成。
マッチングの状態が見えるようにしてみました。
これから先のインジケーター部分が不用ならば、下図のようにトロイダルコアとバリコンだけでOKです。インジケーター部分だけを削除した配線図です。

ラジケータ。

白色えんぴつでケガキ線をひきます。

ピンバイスでざっくりと穴を開け。

ブリッジ部分を彫刻刀とハンマーで叩いて落とします。

ヤスリで削って仕上げます。

グルーガンでラジケータを固定しました。


50kΩの抵抗。
ラジケータの感度調整用です。

ケースに取り付けました。

ラジケータを振らせるための整流回路はラグ板に組みました。

ケースに納めて配線します。



整流にはゲルマニウムダイオードの1N60を使っていますが、無ければシリコンダイオードの
1N4148でもOKです。

1N4148の例

この部分は配線図にあります。
非接触にして、ここからインジケータ用の高周波エネルギーを取り込んでいます。
電圧が高いところなので接触させるとラジケータの調整が効かず振り切ったままになります。
感度が足りない場合は、0.1μF、耐圧1Kvくらいのセラミックコンデンサーを介して接続してください。


ラジケータの端子間に1000pのセラコンを付けます。

部品が干渉しないように確認しながらふたを閉めて完成です。

ワイヤー接続端子にアンテナに見立てた4.7kΩの抵抗を付けて送信テストです。

ポリバリコンを回してSWRが最小になる点に調整します。

SWR計無しでもこのインジケータでメーターが最大になればベストマッチング状態です。
キャリアの出るCW、AM、FMで送信して調整すると楽、その後SSBで運用して下さい。
メーターの触れ具合はボリュームで調整が可能です。
オーバーするようなら50kΩを100kΩにするか、抵抗を直列に入れて足してください。

昇圧トランスですので電圧は昇圧されて高インピーダンスに整合しますが、電力はそのままなので送信パワーが上がるわけではありません。
トロイダルコアを大型にして巻き線を太くし、高耐圧のエアバリコンを使えば10W以上でもOKです。
先記事のLC共振式と異なり共振周波数は関係ありませんので、1/2λのアンテナであれば使用するトロイダルコアの周波数特性が許す限り何Mhzであっても電圧給電アンテナはこの配線で整合できます。
7Mhzでのアンテナ線の長さは、短縮率を考慮すると20.3mくらいです。
28Mhzならば、1/2λの波長である5mのワイヤーを使います。
トランス式のこの機器の性能には惚れました。
SWRがストンと落ちます。
試験的使用では。
20.3mのビニール被服線使用。
7Mhz 5W SSB
丘の上。
地上高1mにおいて問題なくSWRが落ちます。
2から6エリア間 レポート59
川河口。
地上高1mにてSWRは1.0に落とせます。
2から6エリア間 レポート59
2から7エリア間 レポート59
使用感は。
私のように地上高1mでの劣悪な環境ではトランス式のほうがGOODな感じですが、受信の音はコイルコンデンサー式のほうがクリアです。
これはLC共振フィルターにより、目的の周波数のみを通過させる効果から来るクリアさでしょう。
共振したフルサイズアンテナの性能は見事なものがあります。
●最終進化しました。
タイトエアバリコン
容量200pF

大型のトロイダルコアを使い、

ラインを太く

100mAの電流計

置き型でも、吊り型でも使えるようにしました。

50W運用でもOKですが、感電対策を十分にしてください。
ダイヤルはプラスチック製のものを使用するなど、送信中に触れるダイヤルやその周辺のネジ類に至るまで、触る所は絶縁・低圧側になるように考慮しないと感電します。
アルミケースの傷防止用保護ビニールは取らないほうが良いでしょう。

下図はアンテナの基本である半波長ダイポールアンテナの電流・電圧分布です。
このアンテナは中央から給電しますが、電圧分布は中央で最小に、端では最大になります。
ツェッペリンアンテナは電圧分布が最大となっている端から給電するため、電圧給電アンテナといいます。

どういうことになるかというと、半波長ダイポールアンテナの中央におけるインピーダンスは75Ωで、これなら50Ωの同軸ケーブルで給電できます。
インピーダンスを合わせるためにバランを使って整合しますが使わないという方もあります。
一方、ツェッペリンアンテナのように端から給電した場合のインピーダンスはどれくらいになるかというと、およそ5000Ωになります。
電圧給電アンテナには利点があります。
無線機からワイヤーを伸ばしたら片方をどこかに結ぶか木の枝にでも引っ掛ければ良く、設置が楽といえます。
垂直に立ててもL字型に曲げてもOKで(折り返しはNG)フルサイズのアンテナです。
50Ωの同軸ケーブルで給電するためには、これを5000Ωという高いインピーダンスに整合させる必要があり、そのための機器を自作しようというのが今回のテーマです。
インピーダンス整合(マッチング)を取る方法は
①コイルとコンデンサー
②トランス
③抵抗器
によるものがありますが、①と②の方法でやってみました。
第1章 コイルとコンデンサーによる整合
共振回路
配線図中の数値はおおよそ7.100Mhz付近に合います。

コイルを巻くボビンは釣り竿を切断したものを使いました。
カーボン製のものはNGで、グラスファイバー製のものにします。
塩ビパイプを使う例がありますが高周波特性が良くないとのことです。
直径24mm

太さ1mmのポリウレタン被服線です。
ポリウレタンでコーティングされた線であり、はだか線ではショートしてNGです。

密巻きで28回。
中空のコイルをソレノイドといいます。
ボビンに巻かずに安定した直径と長さが保てるならボビンは要りません。
7.1Mhzで発振させるためのコイルとコンデンサーの値はLC共振計算サイトにて調べます。
コイルの直径や巻き線の太さ、巻く回数や組み合わせるコンデンサーの値がわかります。
コンデンサーとの組み合わせではコイルの値のほうを大きくすると、バンド内においてSWRが低い状態がブロード(広い)になるようです。

インダクタンスメータで計ってみると0.01mHでした。
0.01mHをμHに換算すると10.0μHとなります。
このテスターではmHまでが限界なのですが、
μHまで計れるものは秋月電子あたりで買えると思います。
次に紹介する方法は作るのもたいへんです。

もう少し詳細な値を知りたいので治具を自作しました。
コイルを発振させてその周波数から計算でインダクタンスを求めます。
配線図。

穴あき基板に部品を配置します。

NPNトランジスタはなるべくftが高いものが良いです。
よく使われる 2SC1815のftは80Mhzくらいですがこれで問題ありません。
今回はマルツ電波で調達した2N3904で
ftは300Mhzです。

組み上がりました。

0.8Vくらいから発振しました。


VCC電圧は3Vの設計ですから乾電池でもOKです。

オシロスコープで見ると結構きれいなサイン波で発振しています。
発振周波数は2.115Mhzと表示されました。

周波数カウンタで計ると2.112Mhzでだいたい同じになりました。
周波数カウンタやオシロスコープが登場しますが、専用の測定器が無ければ再現性が難しい記事で申し訳ございません。

インダクタンスは発振周波数から計算します。
計算式
1/(4π^2×f^2×C)
1/(39.47×(2.115)^2×500)
=1/(39.47×4.473×500)
=1.132
計算結果からコイルのインダクタンスは11.32μHと判明しました。
こんなことをしなくても、ここにあるサイトの計算式にあてはめれば良いです。
私の試験ではこれと全く同じとなり、単に確かめたに過ぎない結果となりました。
測定器など一切必要ありません。
https://crystal-set.com/calc/index.htm
有難いサイトです。

コイルに熱収縮チューブを被せました。

チューブを被せたことによりインダクタンスは変化するでしょうか。

ほとんど変化はありませんでした。

プラスチックケースに納めます。

コンデンサーにはポリバリコンを使いました。
容量260pのAMラジオ用です。
耐圧は100Vくらいなら耐えると思います。
QRPの5Wでも200Vくらいかかるので耐圧の高いバリコンを使うべきですが、5Wではショートしませんでした。
ポリバリコンで静電容量を確認したら、同じ容量となるように耐圧が1Kvくらいのセラミックコンデンサーと差換える方法もあります。
例えば、上記の配線図のようにコンデンサーが44pになったら22pを並列で使うなど丁度良いペアで組み合わせて下さい。
それなら50WでもOKとなりますが高周波電圧は700V強くらいになります。
電流値は高くないのですが、それでもピリピリするくらいは感電します。

Mコネクタを取り付け。

ロングワイヤーを接続するターミナル。

ケース内の状況です。
配線はなるべくもっと短くなるように工夫して下さい。

SWRが最小になるようにバリコンを調整すればOKです。
一度調整すれば頻繁に調整する必要はなく、バンド内のSWRはブロードの状態です。
アンテナチューナーとして動作します。

試験的使用では。
7.1Mhzの1/2λ ×短縮率0.95
((300÷7.1)÷2)×0.95=20.07
20.3mのビニール被服線にて動作を確認しました。
7Mhz 5W SSB
アンテナの地上高による大地の影響が大きいです。
丘の上。
地上高1mくらいでは当たり前ですがSWRは2.0くらいと高いまま、それ以上は落ちませんでした。
川河口。
こちらは地下水があるせいか地上高1mでもSWR1.1に落ちました。
2から7エリア間 レポート55
●最終進化しました。
エアバリコン

羽根のギャップは1mmくらいです。
1kVには耐えると思います。

容量は60pFです。

移動運用にて50WでもOKです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2章 トランスによる整合
インピーダンス50Ωを5000Ωに整合させるための配線図です。

トロイダルコアの選択です。
アミドン社カーボニル鉄粉コアにおける周波数特性です。

上記の表によれば7Mhzの周波数に使えるのは、赤色、黄色、黒色が選択候補となります。
周波数特性3~50Mhzの黄色のコアを使いました。
規格はT68-6です。
フェライトコアを使う場合、FT××ー43
××の部分はコアの大きさで任意、43の部分は43材という意味で43となっているものを使ってください。
Mコネクタとの大きさ比較です。

太さ1mmのポリウレタン線。

トランス2次側はコアの中心を線が28回通るように巻きます。
1mmの銅線は太過ぎて28回巻いたところ、巻き始めを通り過ぎて一部が重なり巻きになってしまいました。
このような重なり巻きになるのはNGです。
トロイダルコア活用百科によると低周波では良くても高周波での重なりはアウトで、単層巻きにすることとなっています。
足同士が近くなるのも気をつけることと記載されています。

銅線の太さを0.5mmに変更して28回巻き。
1次側は3回巻きでコアの中心を銅線が3回通るように巻きます。
こちらは太さ1mmの銅線にしました。
巻き数の対比は1対9で、3回巻き対28回巻きとします。
巻き数とインピーダンスの関係。
1次と2次のインピーダンス比は巻き数の2条に比例します。
1次(1):2次(9)
巻き数の2乗
9^2=81
これによりインピーダンス81倍または1/81の変換が可能となり、1次側50Ωに対する2次側4050Ωとの変換ができるようになります。
1次と2次の巻き方向は同じとしました。
1次側は2次側の上に重ね巻きにして結合を密にしないと性能が落ちます。
重ねて巻かないと動作しないという製作例も見られます。
コアに露出したところがないよう磁束を閉じ込め全体に広がるように巻くのが基本です。
このように偏った巻き方は良くありませんが、この場合は磁束が強い場所を選びます。

Mコネクタ

ポリバリコン260p
耐圧の記載もなく、どのくらいの電圧に耐えるのかわかりません。
大気中における絶縁距離は1mm 1kVですが、見た目では100Vくらいかも知れません。
高周波電圧は5W・50Ωだとして
√(PR)・√2
√(5・50)・1.414=22V
5W・4050Ωでは201V
エアバリコンの誘電体は空気ですが、ポリバリコンは誘電体に絶縁と誘電率が高いポリエチレンを使うことにより小型化を実現、携帯ラジオに搭載されました。
5Wではショートしませんでした。
のちに、50Wで送信してみましたがポリエチレンが溶けることもなく全く問題ありませんでした。
ポリバリコンの耐圧は言われているほど低くないかも知れません。

アンテナワイヤーターミナル。

それぞれ取付けたら配線します。

トランスの1次側が無線機側になるよう配線します。

ワイヤーアンテナを接続するターミナル。

ポリバリコンを取り付けます。

ダイヤルの取り付け。

インジケーター部分の作成。
マッチングの状態が見えるようにしてみました。
これから先のインジケーター部分が不用ならば、下図のようにトロイダルコアとバリコンだけでOKです。インジケーター部分だけを削除した配線図です。

ラジケータ。

白色えんぴつでケガキ線をひきます。

ピンバイスでざっくりと穴を開け。

ブリッジ部分を彫刻刀とハンマーで叩いて落とします。

ヤスリで削って仕上げます。

グルーガンでラジケータを固定しました。


50kΩの抵抗。
ラジケータの感度調整用です。

ケースに取り付けました。

ラジケータを振らせるための整流回路はラグ板に組みました。

ケースに納めて配線します。



整流にはゲルマニウムダイオードの1N60を使っていますが、無ければシリコンダイオードの
1N4148でもOKです。

1N4148の例

この部分は配線図にあります。
非接触にして、ここからインジケータ用の高周波エネルギーを取り込んでいます。
電圧が高いところなので接触させるとラジケータの調整が効かず振り切ったままになります。
感度が足りない場合は、0.1μF、耐圧1Kvくらいのセラミックコンデンサーを介して接続してください。


ラジケータの端子間に1000pのセラコンを付けます。

部品が干渉しないように確認しながらふたを閉めて完成です。

ワイヤー接続端子にアンテナに見立てた4.7kΩの抵抗を付けて送信テストです。

ポリバリコンを回してSWRが最小になる点に調整します。

SWR計無しでもこのインジケータでメーターが最大になればベストマッチング状態です。
キャリアの出るCW、AM、FMで送信して調整すると楽、その後SSBで運用して下さい。
メーターの触れ具合はボリュームで調整が可能です。
オーバーするようなら50kΩを100kΩにするか、抵抗を直列に入れて足してください。

昇圧トランスですので電圧は昇圧されて高インピーダンスに整合しますが、電力はそのままなので送信パワーが上がるわけではありません。
トロイダルコアを大型にして巻き線を太くし、高耐圧のエアバリコンを使えば10W以上でもOKです。
先記事のLC共振式と異なり共振周波数は関係ありませんので、1/2λのアンテナであれば使用するトロイダルコアの周波数特性が許す限り何Mhzであっても電圧給電アンテナはこの配線で整合できます。
7Mhzでのアンテナ線の長さは、短縮率を考慮すると20.3mくらいです。
28Mhzならば、1/2λの波長である5mのワイヤーを使います。
トランス式のこの機器の性能には惚れました。
SWRがストンと落ちます。
試験的使用では。
20.3mのビニール被服線使用。
7Mhz 5W SSB
丘の上。
地上高1mにおいて問題なくSWRが落ちます。
2から6エリア間 レポート59
川河口。
地上高1mにてSWRは1.0に落とせます。
2から6エリア間 レポート59
2から7エリア間 レポート59
使用感は。
私のように地上高1mでの劣悪な環境ではトランス式のほうがGOODな感じですが、受信の音はコイルコンデンサー式のほうがクリアです。
これはLC共振フィルターにより、目的の周波数のみを通過させる効果から来るクリアさでしょう。
共振したフルサイズアンテナの性能は見事なものがあります。
●最終進化しました。
タイトエアバリコン
容量200pF

大型のトロイダルコアを使い、

ラインを太く

100mAの電流計

置き型でも、吊り型でも使えるようにしました。

50W運用でもOKですが、感電対策を十分にしてください。
ダイヤルはプラスチック製のものを使用するなど、送信中に触れるダイヤルやその周辺のネジ類に至るまで、触る所は絶縁・低圧側になるように考慮しないと感電します。
アルミケースの傷防止用保護ビニールは取らないほうが良いでしょう。

この時のSWRなどの測定値があれば 教えてください。
7Mhz以外での運用はありません。
他のバンドでも運用して、使用感をレポートしてみたいと思います。
ご指摘ありがとうございました。
そうですね、これでは動作しませんよね。
回路図書き換え対応します。
ありがとうございました。
バリコンを1次側に入れる回路と2次側に入れる回路を掲載されていますが
当方の実験では1次側では調整不能 2次側(アンテナ側)に入れてバリコンの回転に合わせてSWRが変動します
1次側ではバリコンを回しても何も変化がありませんでした
とりあえず調整できる方で試験的に運用してみようと思っています
FBな記事ありがとうございました
JA8XGW
コメントありがとうございます。
この記事をご覧いただき作成されたとのこと、使用感のレポートありがとうございます。
動作したとのことで、たいへん嬉しく思います。
1次側のバリコン、変化が無いのは無線機との整合が良いですね。
低圧側に入れるバリコンは変化量が無いとのこと、了解しました。
正しい発信に尽力してまいります。
削除しました。
R1=(n1/n2)^2*R2
とされてますがこれは
R1<<ωL1の場合だと思いますが。ωL1:コア1次のリアクタンスΩ
私も突っ込まれて聞かれると困ってしまいますが、理想変圧器の理論では山ハムさんのほうが詳しく説明できるかと。
降圧変圧器、昇圧変圧器、どちらを1次側とするかでもどうなることやらです。
XL=505Ω、とすれば整合する純抵抗の最大値RnaxはRmax=(505×50)^0.5=5100Ωになります。
この場合整合するアンテナのインピーダンスZはZ=5100-j505Ω になります。計算ではC=44.4pFになります。
純抵抗4000Ωでは Z=4000ーj2603Ω、3000ΩではZ=3000-j3015Ω・・・というようにCを可変するとある円周上を移動するだけで純抵抗はCで対応できますがリアクタンスは対応できません。実際はSWRが落ちているようなのでそれでいいと思いますが、もしCLCのT型のカップラーにすれば多少のリアクタンスにも対応ができます。なぜかツェップの整合はLCだけで整合させる回路が多いのは疑問です。
純抵抗5000Ωの時はZ=5000-j1212Ωのアンテナのみ整合(C=43.8pF)します。
=5100Ωになります。訂正しお詫びします。
山ハムさんにコメントいただき、当記事を見た方への参考となります。
電圧給電における給電点のインピーダンスはおおむねそのとおりですね。
ツェップアンテナは荷物の重量などに制約の多い登山移動運用になどにおいて、QRPにならざるを得ないためフルサイズアンテナを使いたい方が選択するケースがあります。
よりコンパクトさを求めた結果、おっしゃるとおりのLCマッチが多いです。
CLCにする場合はコンパクトさではCOMETのCAT−10などが選択されるかと思います。インダクタンスはタップ可変式です。
山ハムさんの検証にあるC=44pFは、カバーできるバリコンを選択するのによい情報になります。
ぜひいろいろ書き込んでください。
いろいろ計算していると面白い点がありましたのでアップします。
LC回路でアンテナ側から見た共振周波数f0は
f0={2π(LC-Z0^2*C^2)^0.5}^-1[Hz]になります。
共振時のインピーダンスZsは2点あります。
Zs=5050Ω(at C=44.83pF、L=11.32μH、f=7.1Mhz)
=50.5Ω (at C=4483pF 〃 )
お邪魔しました。
たいへん有益なコメントありがとうございました。
フルサイズアンテナの威力はスゴイものがあり、5Wもあれば国内QSOは十分にできます。
ワイヤー1本でOK、強力なツップアンテナは移動先での設置には最適な部類に入るのではないでしょうか。
山ハムさんにコメントいただき、説明がされていなかったことも検証していただきました。
アンテナ側から見たインピーダンス、無線機側から見たインピーダンスがどうのようにマッチするのか理解が深まったことと思います。
ありがとうございました、またコメントください。