クラニシ BR-510 指示不良でお預かりしました。


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インピーダンス、SWRともに正常に指示しません。


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発振周波数の点検。

3.5Mhz

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周波数カウンターで確認。

異常はありませんでした。

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500Mhz 発振の確認。


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こちらも異常ありませんでした。


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分解、基板のハンダ不良などを点検。

異常のある場所はありませんでした。

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V・HFコネクター取り外し。


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ダイオードを点検。


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ショットキバリアダイオードです。


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4本中2本がNGでした。


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ショットキバリアダイオードのリード部品の入手は困難になってきました。

シリコンダイオードでの代用は出来ず、整流用ではなく検波用のものでなくてはダメです。

代替品で使えるものを探してみたところ、JRC製の1N270が手持ちであったので採用しました。
ゲルマニウムダイオードです。
1N60でも良いです。

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交換しました。


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UHFの指示も不良のため、こちらもダイオードを1N270に交換しました。

チップ抵抗の値は破損も無く異常ありませんでした。

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アンプ JRC製 4558D 交換しました。


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較正。

コネクタに何も接続しない状態で、インピーダンス、SWRとも指示が振り切れるのを確認。

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Dレンジに合わせて発振周波数を最低にセットし、


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V・HFは左側のトリマ

UHFは右側のトリマにて、

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インピーダンスの調整。

較正用の50Ωダミーロードにて、1.8~170Mhzについては右側のMコネクタにて、300~500Mhzについては左側のNコネクタにて50Ωを指示するように調整します。

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SWRの調整。

50Ωのダミーロードのとき、1.8~170Mhz及び300~500Mhzの両方とも右側のMコネクタにてSWRが1.0を指示すればOKです。

300~500Mhzについて左側のNコネクタにしてSWRを調整しようとしてもメータが振り切れます。それで正常です。

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試しに。

100Ωのダミーロードのとき、SWRが概ね2.0を指示すれば良好です。

100Ωのダミーロードは販売されていないので自作するほかありません。

1KΩの酸化金属被膜抵抗を10本並列にします。
抵抗のW数は大きいものに越したことはなく、使っているのは1本3Wのものですが、調整するだけの数秒なら50Wでも行けます。
セメント抵抗にはW数が大きい10Wのものもありますが、巻き線抵抗が使われているため、交流ではインダクタンスを持ち周波数特性がよくありません、使えても7Mhzくらいが限度です。

抵抗の一端は同軸ケーブルの心線に、もう一端は外側の編線に接続です。

大きいパワーで送信するわけではないので、100Ωの抵抗1本でも良いですね。

1本自作しておけばSWR計の較正などにも使えるでしょう。

50Ωのダミーロードの作り方も同じです。
100Ωを2本並列で50Ωです。
前述のとおり、SWRは1.0を指示します。

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作今のアンテナアナライザとしては、Nano VNAによるベクトルネットワークアナライザが安価で購入できますが、ベクトルなんて考え方はもう古いです。

最近はクラニシのアナライザーのように、スカラー量によるほうが直感的で良いのですってね。

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