IC-351 マイクアンプ、レピータートーン実装のためお預かりしました。
この時代、ICOMの無線機にはアンプ内蔵の専用マイクが付属していました。
普通のマイクを使うと、ゲインが不足して変調が小さくなってしまい、これには苦労している方があるのではないでしょうか。
知らないと無線機が壊れていると思ってしまいますよね。

FCZの寺子屋シーリーズ、マイクコンプレッサキット。
オーナー様が、これを取り付けて欲しいとのことです。

このアンプがそのまま付くほど簡単ではありませんでした。
ICOMのマイク端子のプラスには直流が畳み込まれていますので、これを分離することから始めなくてはなりません。
キットの説明書には回路図がありましたが、コンデンサーで直流をカットしてしまえば良いです。
しかし、出力ゲインのマッチングにはデビエーションに影響を及ぼします。
取付はやめました。

ICOM純正、アンプ付きマイクの回路図。
マイク(+)、マイク(−)の2本しか無いのがわかるでしょうか。
トランジスタを動作させる電源は、マイク+に直流として一緒に畳み込まれています。

作るしかないでしょう。

アンプ部分だけを作成したものです。
本来なら、おにぎりマイクの中に仕込むものです。


アンプは無線機の内部に組み込みました。
ダイナミックマイクであれば、これならいろいろなマイクが使えますね。
純正アンプなので、デビエーションの広がりも心配ありません。
なかなかの音質です。

IC-351はトーン発生器がオプションとなっており、そのままではレピーターにアクセスすることが出来ません。
オーナー様が「YAESU」用のトーン発生器を付けて欲しいとのことです。
ICOMにYAESU用?と思うでしょうが、88.5Hzのトーンさえ発生できれば良いのです。
問題は、どういう仕様になっているのかわからないことです。
動作電圧はどうか、端子はどうなっているかなど、資料は探してもありません。
YAESU FTE-1

参考としたのは、FTE-1を実装する無線機 YAESU FT-730です。

FT-730の回路図です。
トーン発生器のVCCの行く先をたどってゆくと、

行く先は、8VのレギュレータICとなっており、動作電圧は8Vであることが判明しました。

端子から配線を引き出すためにコネクターを取付けます。

電源(+)8V、GND(−)、トーン信号OUT を引き出しました。

電圧は3,3Vから動作しました。

電圧を徐々に上げてゆき、9Vでも大丈夫でした。

発生するトーンは88,5Hzの1波で、綺麗なサイン波です。
発生までは成功ですね、これを実装するにはどうしましょう。。。

IC-351の回路図。
トーンユニットからの出力信号を追ってゆくと、


その先はMIC GAINとなっています。

トーン信号はマイクロホンの信号と合わさり、アンプICのJRC4558Dに入ります。

JRC4558D

FTE-1のトーン信号はMIC GAINに配線しました。

トーン出力の調整です。
大き過ぎるとクリップしてしまいます。
JRC4558Dの出力波形

クリップしないように調整します。

問題が発生しました。
トーン周波数の88,5Hzは人間の耳にはほとんど聞こえませんが、音としては出ているため、常時電源が入ってトーンが出放しだとSSBのときにもキャリアが出てしまいます。
レピーターアクセスの時だけ電源を入れて、その他の時は切らなければいけません。
スイッチを増設しようと思いましたが、FMの時だけ9Vが出る端子がありました。
これなら、SSBでキャリアが出ることはありません。

FTE-1の電源線をFM9のコネクタに配線しました。

結果はSSBの時にはトーンが出ません。


FMに切替えるとトーンがでるようになります。

トーン周波数88,5Hz
1,55〜2V に調整しました。
レピーターへのアクセスも良好です。

トーンデビエーションは500Hzです。

フレームに取付けました。
ICOMの中でYAESUが動作しているのも面白いですね。

受信プリアンプが取り付けられています。

トランジスターの足が浮かされています。
ハンダ付けしてみましたが、残念ながら動作しませんでした。

プリアンプとしては全く変化無しです。

ガリ・ヒソ半導体がNGかと思います。
信号ロスになるため取り外しました。

Sメーター照明をLED化しました。

点灯確認。

パネルアクリルガラスの曇り清掃しました。

周波数調整。

出力 20W

スプリアス良好。

受信感度。
ー122.0dBm (SINAD)

デザインの良い無線機です。
シャックに置かれているだけで、オブジェとしてもサマになりますね。

この時代、ICOMの無線機にはアンプ内蔵の専用マイクが付属していました。
普通のマイクを使うと、ゲインが不足して変調が小さくなってしまい、これには苦労している方があるのではないでしょうか。
知らないと無線機が壊れていると思ってしまいますよね。

FCZの寺子屋シーリーズ、マイクコンプレッサキット。
オーナー様が、これを取り付けて欲しいとのことです。

このアンプがそのまま付くほど簡単ではありませんでした。
ICOMのマイク端子のプラスには直流が畳み込まれていますので、これを分離することから始めなくてはなりません。
キットの説明書には回路図がありましたが、コンデンサーで直流をカットしてしまえば良いです。
しかし、出力ゲインのマッチングにはデビエーションに影響を及ぼします。
取付はやめました。

ICOM純正、アンプ付きマイクの回路図。
マイク(+)、マイク(−)の2本しか無いのがわかるでしょうか。
トランジスタを動作させる電源は、マイク+に直流として一緒に畳み込まれています。

作るしかないでしょう。

アンプ部分だけを作成したものです。
本来なら、おにぎりマイクの中に仕込むものです。


アンプは無線機の内部に組み込みました。
ダイナミックマイクであれば、これならいろいろなマイクが使えますね。
純正アンプなので、デビエーションの広がりも心配ありません。
なかなかの音質です。

IC-351はトーン発生器がオプションとなっており、そのままではレピーターにアクセスすることが出来ません。
オーナー様が「YAESU」用のトーン発生器を付けて欲しいとのことです。
ICOMにYAESU用?と思うでしょうが、88.5Hzのトーンさえ発生できれば良いのです。
問題は、どういう仕様になっているのかわからないことです。
動作電圧はどうか、端子はどうなっているかなど、資料は探してもありません。
YAESU FTE-1

参考としたのは、FTE-1を実装する無線機 YAESU FT-730です。

FT-730の回路図です。
トーン発生器のVCCの行く先をたどってゆくと、

行く先は、8VのレギュレータICとなっており、動作電圧は8Vであることが判明しました。

端子から配線を引き出すためにコネクターを取付けます。

電源(+)8V、GND(−)、トーン信号OUT を引き出しました。

電圧は3,3Vから動作しました。

電圧を徐々に上げてゆき、9Vでも大丈夫でした。

発生するトーンは88,5Hzの1波で、綺麗なサイン波です。
発生までは成功ですね、これを実装するにはどうしましょう。。。

IC-351の回路図。
トーンユニットからの出力信号を追ってゆくと、


その先はMIC GAINとなっています。

トーン信号はマイクロホンの信号と合わさり、アンプICのJRC4558Dに入ります。

JRC4558D

FTE-1のトーン信号はMIC GAINに配線しました。

トーン出力の調整です。
大き過ぎるとクリップしてしまいます。
JRC4558Dの出力波形

クリップしないように調整します。

問題が発生しました。
トーン周波数の88,5Hzは人間の耳にはほとんど聞こえませんが、音としては出ているため、常時電源が入ってトーンが出放しだとSSBのときにもキャリアが出てしまいます。
レピーターアクセスの時だけ電源を入れて、その他の時は切らなければいけません。
スイッチを増設しようと思いましたが、FMの時だけ9Vが出る端子がありました。
これなら、SSBでキャリアが出ることはありません。

FTE-1の電源線をFM9のコネクタに配線しました。

結果はSSBの時にはトーンが出ません。


FMに切替えるとトーンがでるようになります。

トーン周波数88,5Hz
1,55〜2V に調整しました。
レピーターへのアクセスも良好です。

トーンデビエーションは500Hzです。

フレームに取付けました。
ICOMの中でYAESUが動作しているのも面白いですね。

受信プリアンプが取り付けられています。

トランジスターの足が浮かされています。
ハンダ付けしてみましたが、残念ながら動作しませんでした。

プリアンプとしては全く変化無しです。

ガリ・ヒソ半導体がNGかと思います。
信号ロスになるため取り外しました。

Sメーター照明をLED化しました。

点灯確認。

パネルアクリルガラスの曇り清掃しました。

周波数調整。

出力 20W

スプリアス良好。

受信感度。
ー122.0dBm (SINAD)

デザインの良い無線機です。
シャックに置かれているだけで、オブジェとしてもサマになりますね。

こんな丁寧な作業記事まで作っていただきありがとうございます。
細かい作業内容を知ることができ、大変興味深く拝見させていただきました。
IC-351は高校時代から欲しかったリグの一つで、現役復帰できて本当に嬉しい限りです。
大事に使用させていただきます。
残りのリグもご面倒おかけしますが、よろしくお願いいたします。
たいへんお待たせして、ご不便をおかけします。
記事も見ていただきコメントありがとうございます。
この度、トーンの実装について私には初めての試みでした。
無線機のトーンはどうやって出しているのか、未搭載の無線機には実装可能かどうかの判断を含め、レピーターやトーンスケルチなど、トーンを取り巻く技術的なことの一切を調べて知る良い機会となりました。
またひとつ前進できたと思います。
順次ブログアップしてゆきますので、またコメントください。